秋刀魚の歌

 10月はなにかと皆さんお忙しいようで・・・
 知り合いのブロガーさんたちも更新が滞りがち。。

 こっちも●●会みたいなんが、連日あって、、、
 夕べも大阪市中央区、、久宝寺か久太郎かのお店で小宴がありました。
 週初めから、ふぐだの焼き肉だの食べてたから、帰路は運動兼ねて徒歩で・・・

 難波橋のライオンさんが月に咆哮してましたわ。

 ボブ・シーガー&シルバー・ブレット・バンドの「月に吠える」の鼻歌で、ふっふっふん〜とライオン前を通過。この歌、かなり昔と思ったけど、調べると1983年。つい、こないだでしたわ。。!?
 「アゲンスト・ザ・ウインド」「ファイアー・レイク」ってのもありました。今聞くとぐっときます。

 秋の夜長。。みなさんはどんな曲で癒やされてますかいな。



 ところで、秋といえば知人がサンマの奥深さについて、つぶやいていました。
 好きだから、苦いところまで全部おいしく思える・・・

 
 佐藤春夫「秋刀魚の歌」を思い出しました。
 秋になるといつも詠み返しています。

 当時の春夫と、師匠・谷崎潤一郎との関係が背景にあるんですが、はしょります。
教えてほしい人には教えます。有名な話ですけどね。。。
 では、その詩を。
 苦いとこまでよ〜くかみしめて・・・
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 あはれ秋風よ こころあらば伝へてよ
 男ありて 今日の夕餉にひとりさんまを食らひて思ひにふけると。

 さんま、さんま、
 そが上に青き蜜柑の酸(す)を したたらせて
 さんまを食ふはその男がふる里の ならひなり。
 そのならひを あやしみ なつかしみて女は
 いくたびか青き蜜柑をもぎ来て 夕げにむかひけむ。
 あはれ、人に捨てられんとする 人妻と
 妻にそむかれたる男と食卓に むかへば、
 愛うすき父を持ちし女の児は
 小さき箸をあやつりなやみつつ
 父ならぬ男に さんまの 腸(はら)をくれむと 言ふにあらずや。

 〜中略〜
 あはれ
 秋風よ
 こころあらば 伝へてよ、
 夫を失はざりし妻と
 父を失はざりしをさなごとに伝へてよ
 男ありて
 今日の夕げに ひとり
 さんまを食ひて
 涙をながす と。

 さんま、さんま、
 さんま苦いか 塩つぱいか。
 そが上に熱き涙をしたたらせて さんまを食ふは
 いづこの里のならひぞや。
 あはれ
 げにそは 問はまほしくをかし。