黒髪は肩まで。黒目勝ちな瞳は、じっと前を見つめていた。

 僕はロビーで3000円カードを買った。
 ひたすら打つ。

 右のボックスにその子はいた。

 カップルで来ていた。二人とも23~26歳かな。

 大きな声を出さない。

 彼が彼女を教えてるんだけど、彼も初心者だった。

 彼はadidasのシューズ。彼女は履くのが2回目ぐらいの白とゴールドの真新しいの。ボーダーのTシャツで、クラブは、まりくれーる。

 二人でやろーと決めたんだろな。

 一つのボックスで交互に打つ。でもうまくいかない。

 スマートフォンで互いにスイングを撮り合った。

 そして小さな声で話し合った。

 彼はきっとまじめな男の子だ。

 爽。

 優しい気持ちになれた。

 

 僕はTシャツで。150球まで打った。

 心地よく汗。

 あの後。
 黒目勝ちの彼女を、まじめな彼は、どうエスコートしたかな。

 
 
 優しい気持ち。

 生きていくうえで、一番だいじなんだろーな。

 こんな曇り空でも。

 気持ちは晴れ。